マニュアルにおける校正と校閲の違いとは?どちらもおこなうことが大切な理由

マニュアルにおける校正と校閲の違いとは?どちらもおこなうことが大切な理由

マニュアルを作成する際には必ず校正をしましょう、校閲をしましょう、と言われます。
校正と校閲とは、何が違うのでしょうか。どちらも「マニュアルをチェックして誤りが無いかどうか確認する」という作業のイメージですが、単に言葉が違うだけで同じ意味なのでしょうか。

校正と校閲は、似たような言葉ですが、その意味は異なります。
今回は、校正と校閲の違いと、マニュアル作成では校正と校閲のどちらもおこなう必要があるという点についてまとめました。

是非マニュアル作成の際の参考にしてみてください。

校正と校閲の違い

まず、校正と校閲の違いについて解説します。

端的に言ってしまうと、

  • 校正は文章そのものをチェックすること
  • 校閲は文章の内容をチェックすること

となります。

どういうことなのか、もう少し詳しく説明します。

校正とは

校正は「文章そのものをチェックすること」です。
日本語として誤りが無いかどうか、「言葉」を確認していきます。

誤字や脱字、文法や表記、半角と全角など、ルールに則った書き方ができているかどうか、日本語として間違った文章になっていないかどうか、一言一句つぶさに確認していく作業です。

校閲とは

校閲は「文章の内容をチェックすること」です。
書かれている内容に誤りが無いかどうか、データは正しいか、情報は古くないか、確認していきます。

データに基づいてまとめた文章の場合、その数値が誤っていることがあります。また、古いデータがそのまま残っていたり、根拠が曖昧だったりする場合にも指摘します。

他にも、内容に矛盾が生じている箇所や、差別表現を用いている、倫理的に好ましくない表現を用いている、といった点も指摘して改善を求めます。

校正と校閲の具体例

実際に、校正と校閲の違いを具体例で見てみましょう。

≪例文≫

アンケートの結果、デートの食事代を男性が女性の分も支払うべきと答えた人の割合は、男性で4割、女性で78%となり、男性よりも女性の方が僅かに多い数値となった。助成の中には「全額支払ってもらわなくても、男性のほうが多めに出してくれたらいいなと思う」という人が多くいるという結果になりました。

[校正]

アンケートの結果、デートの食事代を男性が女性の分も支払うべきと答えた人の割合は、男性で4割(40% ※数字の半角と全角、割と%の統一)、女性で78%となり、男性よりも女性の方が僅かに多い数値となった。助成(女性 ※誤字)の中には「全額支払ってもらわなくても、男性のほうが多めに出してくれたらいいなと思う」という人が多くいるという結果になりました(なった ※語尾の文体の統一)。

[校閲]

アンケートの結果、デートの食事代を男性が女性の分も支払うべきと答えた人の割合は、男性で4割、女性で78%となり、男性よりも女性の方が僅かに多い数値(ほぼ倍となっているのに「僅かに」という表現に違和→データの見直し)となった。助成の中には「全額支払ってもらわなくても、男性のほうが多めに出してくれたらいいなと思う」という人が多くいる(具体的な数値があるとなお良し)という結果になりました。

このように、校正と校閲では、チェックする箇所や指摘する箇所が異なります。

マニュアルにおいて校正と校閲がどちらも大切な理由

マニュアル作成においては、校正と校閲は非常に大切です。
その理由を3つにまとめました。

1.誤った情報は絶対に掲載してはならないから

作業マニュアル、接客マニュアル、取扱説明書など、マニュアルの種類はさまざまですが、全てのマニュアルに共通する特徴として「やり方」や「扱い方」が記載されています。

例えば取扱説明書に重大なミスがあった場合、命に関わるような事故を引き起こすリスクがあります。取扱説明書(マニュアル)に掲載されている内容には絶対にミスがあってはならないのです。

接客マニュアルや、新人研修マニュアルにおいても、マニュアルに誤りがあった場合には、そのまま誤った内容で知識を得てしまう可能性があるため、特に内容における誤りは徹底してチェックして正していかなければなりません。

情報の正確性については校閲の分野になります。

2.日本語が乱れていると読みにくく理解しづらくなるから

マニュアルに掲載されている事象、内容がいくら正しいものであっても、その質が良くても、文章として読みにくいものは理解を妨げます。
語尾に統一性がない、数字の全角半角がバラバラ、同じ言葉なのに漢字を使っている部分と平仮名になっている部分がある、主語と述語にねじれがある等、日本語、文章として整っていないものは非常に読みにくいです。

読みにくい文章は頭に入ってきませんので、理解するのに時間がかかります。
また、誤った理解を誘発してしまう可能性もあるため、マニュアルは正しく美しい文章で作成されることが求められます。

このチェックは校正の分野となります。

3.勘違いや誤解を招く可能性は潰しておくべきだから

不自然な文章、美しくなく読みにくい文章は、時として勘違いや誤解、早とちりを引き起こします。そして、大前提としてマニュアルに誤った情報やデータが掲載されていると、そのまま読み手が「(本当は誤った情報なのに)正しい情報」として記憶してしまいます。

校正して文章を整えることも、校閲して正しい情報を精査することも、マニュアル作成においては非常に重要と言えます。

校正と校閲は誰が担当する?

校正も校閲も、文章をチェックするという意味では似たような作業になります。
しかし、本記事で解説した通り、この2つはその内容が異なります。

校正を担当する人と、校閲を担当する人、どちらも同じ人が担当しても良いのですが、それぞれ適任があります。

校正は日本語力と文章力に長けている人

校正を担当する人は、正しい日本語の知識を持ち、文章能力に優れた人が適任です。
おかしな表現、表記は無いか、文章として正しく意味が伝わるか、言葉や言い回しの統一性は保たれているか、など文章に特化してチェックしなければならないからです。

自社内でマニュアルを作成する際には、これらの能力に優れた社員を校正者として任命するようにしましょう。
もし、社内に校正の能力がある社員がいなければ、プロの校正者に外注するという方法もあります。

校閲はマニュアルの内容に精通している人

校閲はマニュアルに書かれた内容が正しいかどうかチェックするため、マニュアルの内容に精通している人、詳しい知識がある人が適任です。

また、データなどに関しては資料等と照らし合わせて正しい情報になっているかどうかチェックするという作業も含まれるため、細かな違いにも気付けるような人が向いています。

校閲に関しても、これをプロとしている職業がありますので、自社内でのチェックに不安がある場合は外注を検討するのもひとつの手です。

マニュアルを外注で作成する際には丸投げせず自分たちでもチェックを

マニュアル作成の全工程を外部の業者に依頼して、お任せで作成してもらう際には、校正についてはその道のプロがしっかりとチェックをおこない正しい文章でマニュアルを作ってくれます。

しかし、校閲に関しては自社内でしか分からない情報があったり、社員の方がマニュアル作成業者よりも詳しかったりするため、マニュアルの内容そのものに誤りが無いかどうかは、自社内でもしっかりとチェックすることが大切です。

以上、マニュアル作成における校正と校閲の違いと重要性について解説しました。
マニュアル作成の際には是非参考にしてみてください。

タグ: #校正#校閲
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