中小企業ほど業務マニュアルが必要な6つの理由

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あなたの会社に業務マニュアルはありますか?
中小企業の経営者であるあなたはこう思うかもしれません。

「仕事は全部頭の中に入っているからマニュアルなんか要らないよ」
「マニュアルがあるとそこに書いてあることしかやらなくなっちゃうでしょ」
「忙しくてマニュアルを作っている時間もお金もないな」

もしかしたら「業務マニュアルは一応作ったけれど使っていない」という場合もあるかもしれません。でも、実はそのような中小企業こそ、業務マニュアルをきちんと作って活用すれば業務品質や経営効率が向上するチャンスがあるのです。
そこで今回は、なぜ中小企業ほど業務マニュアルが必要なのか、その理由についてお伝えしたいと思います。

理由1.業務を標準化できる

業務マニュアルを作るには、まずすべての仕事を棚卸しする必要があります。
その後、それぞれの仕事について「いつ」「誰が」「何を」「どのように」「どうする」という手順、「なぜそれをするのか」という目的、「どこまでできればOKか」という基準を業務マニュアルとして書いていきます。
企画力や発想力を要する業務は、手順は書けなくても、目的や基準だけでも書いていきます。仕事の「見える化」です。
そうすると、人によって仕事のやり方が違っている、場当たり的な行動をしている、特定の人に仕事が集中している、といった仕事のムリ・ムダ・ムラが見えてきます。
そこで問題のある業務は見直しをして、本来のあるべき姿を業務マニュアルにします。
これによって業務を標準化することができます。社員個人が保有しているノウハウや情報を共有化することもできます。
業務マニュアルを作ることによって、仕事のムリ・ムダ・ムラを排除して業務を標準化することができ、結果として効率よく仕事ができるようになっていくのです。

理由2.業務経験がなくても仕事を覚えられる

「俺の背中を見て仕事を覚えろ」と言われたら、新人はいつまでたっても仕事を覚えることができません。
社員が仕事を覚えられないのは、本人の能力のせいではなく覚える環境がないからです。
上司の指示もいつも正確とは限りません。時には判断が主観的になったり、大事なことを教え忘れたりすることもあるかもしれません。
新人が勝手な判断で行動してしまう危険性もあります。
これでは教える側も教わる側も不安になってしまいます。
でも、そんな時に業務マニュアルがあれば、仕事の全体像や流れを短時間で把握することができるようになります。業務マニュアルで業務の手順と基準を明確にしておけば、誰でもある程度同じ品質で業務を遂行できるようになります。

理由3.人材育成がしやすくなる

多くの中小企業では人材育成に課題を抱えています。
厚生労働省の平成28年度「能力開発基本調査」の結果を見ると、全体の72.9%の事業所が人材育成に関して何らかの「問題がある」と回答しています。
問題点として多い回答は、「指導する人材が不足している」(53.4%)、「人材育成を行う時間がない」(49.7%)、「人材を育成しても辞めてしまう」(43.8%)です。
日々の業務に追われ、社員教育に十分な時間や人を割くことができない現状が浮き彫りになっています。そのため、即戦力になりそうな人材を確保したり、新人に過度な期待をしたりし、結果として離職者を増やすことにつながっています。
この問題についても、業務マニュアルを作ることが有効な解決策になります。
業務マニュアルをベースに人材育成を行うしくみを整備すれば、先輩社員が教育に費やす時間や労力を大幅に減らすことができます。人によって教え方にムラが生じることも防げます。
さらに、業務マニュアルで仕事の手順だけでなく会社の理念や仕事の目的等も伝えることによって、新人は仕事に取り組む姿勢も学ぶことができます。

理由4.成績評価がしやすくなる

社員の成績を業務の遂行能力によって評価しようと思っても、評価基準がなければ測ることができません。かといって経営者や上司の主観で評価すると、基準がバラバラになりかねず、社員の不満も募ることになってしまいます。
ここでも業務マニュアルをベースに社員の業務遂行能力を評価するしくみを作れば、基準も明確になり、成績評価もしやすくなります。
仮に社員から「なぜAさんより私の評価が低いのですか」などと問われても、評価基準を明確に答えることができるようになります。
評価される側の社員にとっても、目指す方向性や基準が明確になれば「次はここまでできるように頑張ろう」と目標が立てやすくなり、モチベーションの向上につながります。

理由5.事業存続の命綱になる

災害や大事故等の緊急事態に備えて、災害直後の人命救助や安否確認、停止した事業を仮復旧する手順、連絡先リストや業務マニュアル等をまとめたものを「非常時対応マニュアル(BCP:Business Continuity Plan)」といいます。
BCPの策定は法律で義務づけられたものではありませんが、BCPを導入する企業は増加しています。
例えば大災害が生じた際には、防災対策や避難計画が不十分で従業員の死傷者が出てしまい安全配慮義務違反で遺族から訴えられたり、事業再開計画が不十分で商品を納品できず取引先から違約金を請求されたりする可能性もあります。
また、中小企業の場合には災害や事故に限らず、経営者が病気やケガで働けなくなると、途端に事業存続の危機に直面してしまうかもしれません。
そのため、不測の事態に備えて業務マニュアルをベースにBCPを作っておくことが事業存続の命綱となります。

理由6.株式公開に備えられる

これは直接的にマニュアルが必要な理由にはならないかもしれませんが、もしも貴社が将来株式を一般公開する場合、マニュアル整備が必須となります。
マニュアルを前もって整備しておけば、業務効率も高められる上に、株式公開時に慌てる必要はなくなります。

いかがでしょうか。
業務を整理して業務マニュアルを作るには確かに時間も労力もかかるので、業務マニュアルを作ることに否定的なご意見もあると思います。
しかし、ヒト・モノ・カネに限りがある中小企業こそ、業務のムリ・ムダ・ムラを排除し、社員の勘や経験に頼る体質から抜け出すには業務マニュアルが必要なのです。

社員自身も業務マニュアルを作るという行為に参加することによって、仕事への理解も深まり、意識も高くなるため、結果的に業務品質や顧客満足の向上につながっていきます。

業務マニュアルを作る、といっても最初から大それたものを作る必要はありません。
作った業務マニュアルをしまい込まずに日々の業務で活用し、定期的に見直して常に最新の状態に保つことの方が重要です。
完璧な業務マニュアルを作るのは無理と割り切って、まずは6割程度の完成度を目指して作り、あとは必要に応じて更新すればいいのです。
まずは身近な業務からマニュアルを作ってみませんか。