「マニュアル作成」と「マニュアル制作」

「マニュアル制作」「マニュアル作成」をGoogleで検索してみると、どちらもたくさんの検索結果が表示されます。
どちらかと言えば「マニュアル制作」には、マニュアルを生業としている会社の情報が表示され、「マニュアル作成」には作成する時のコツやノウハウを書いたブログのような情報が上位に表示されます。
なんとなく「制作」のほうがプロっぽくて、「作成」は具体的過ぎるという認識があるのでしょうか?

マニュアルは制作するのか、作成するのか?
「どちらでも作るってことだから同じじゃないか」と考える方もいらっしゃるでしょう。
クレストコンサルティングでは、そうは考えません。制作と作成は違うのです。「マニュアル作成会社として、言葉を大事にしたい」という思いから、私たちは制作と作成の違いにこだわっているのです。
私たちクレストコンサルティングのマニュアル作成担当者は、一人ひとりが『記者ハンドブック』(共同通信社)を持ち、用語・用字に迷った時のよりどころとしてします。これは新聞記事を書く際の用語・用字の判例集のようなものです。
「分かりやすくやさしい文章、言葉を書くために」「できるだけ統一された基準を守るために」作られた『記者ハンドブック』に従うことによって、私たちの作るマニュアルも誰が読んでも分かりやすいという目的を果たすことができると考えているからです。

制作と作成の意味の違いについて『記者ハンドブック』を通して考えてみましょう。
「せいさく」や「さくせい」には、制作と作成のほかに「せい」という音の部分に「製」という漢字を使用した「製作」「作製」という使い方もあります。

「製作」「作製」は主に具体的・実用的なものを機械などで大量に作る場合に使用する言葉だそうです。「機械・器具の製作」「カレンダー・設計図の作製」のように。

作成と作製の違いは「書かれた内容に重点をおけば作成」とあります。
家電製品や自動車の取り扱い説明書(これもマニュアルの一種です)は大量に作られるものですが、一つ一つの家電製品、自動車についてくる1冊(あるいは数冊)のマニュアルと考えれば、マニュアルは「製作」「作製」でないことは確かです。

そうなるとマニュアルは制作か作成かに絞られてきます。
『記者ハンドブック』の定義では、制作は「主として芸術的・ソフト的なもの(を作る)。絵画・工芸品の制作」と書かれています。
作成はどうでしょう。作成は「文書・計画・原本などを(作る)。ケアプラン・法案・ホームページ・マニュアル・名簿・目録の作成。」とあります。

マニュアルは芸術的なものでしょうか? いいえ、芸術ではありません。工芸品でもありません。ですから私たちは「マニュアル作成」という言葉を使用しているのです。
絵画や工芸品はいったん完成したら、それは鑑賞の対象となり完結します。

マニュアルは、見えない仕事を見える化するものです。そして完成後に、実務に役立てるものでもあります。読んで、仕事のやり方を学び、よりよい業務品質を満足させるための指標として使います。さらに業務が変わったときに改訂して、常に仕事とともに変化させていくものでもあります。

マニュアルは生きています。業務品質の向上に終わりがないように、マニュアルを業務に寄り添わせ、目指すべきところを指し示すマニュアル作りに終わりはありません。
だからこそ、私たちは「マニュアル作成」という言葉を使います。
細かいことのようですが、一語の意味を取り違えて仕事でミスをすることがないようにすることは私たちマニュアル作成者の心意気でもあります。

私たちがお客さまにマニュアルを納品させていただいた後、業務のブラッシュアップにあわせてお客さまご自身がマニュアルを改訂し続け、お使いいただけるようなマニュアルになるとよいな、それが一番理想的なのではないかと私たちは真剣に考えて、日々仕事に取り組んでいます。