
マニュアル作成6つのコツ!ポイント・注意点や失敗例も
マニュアルは、仕事に不可欠なツールです。仕事の内容や手順を確認したい時に役立つのはもちろん、上手に活用すれば業務品質や生産性の向上などさまざまな効果をもたらしてくれます。一方、使いにくいと結局使わなくなってしまうことも多いものです。せっかく作っても使われなければ意味がありません。製品やシステムの操作マニュアルであれば、正しい操作手順があるのでそれをいかに分かりやすく説明するかに重点を置いて作ればいいわけですが、業務マニュアルにはこれといった正解がないため、どう作ればいいか悩むことも多いのではないでしょうか。
そこで今回は、業務マニュアルを作る際のポイントや失敗例を紹介していきますので、参考にしてみてください。
使いやすいマニュアルの条件
使いやすいマニュアルとはどんなものでしょうか?
まず第一に、知りたい内容をすぐに見つけられることが大切です。検索ができず、マニュアルのどこに知りたいことが書かれているのかわからなければ意味がありません。
第二に、知りたい内容を網羅していることも重要です。読んでもすべてがわからず、結局人に聞くことになるようなマニュアルもやはり意味がありません。
最後に、パッと見の「見やすさ」も忘れてはいけないポイントです。使う人にとって見づらいと、なかなか使う気が起きないからです。
マニュアル作成の6つのコツ!ポイント&注意点
マニュアル作成には、いくつかポイントや注意点があります。ここでは、マニュアル作りのコツを6つ紹介していきます。
ユーザーを明確にする
まず、マニュアルを「誰のために」作るのかを明確にします。
例えば、新人向けマニュアルと熟練者向けマニュアルでは、書き方も内容もまったく異なります。
新人向けマニュアルには初歩的な説明が必要となる一方、熟練者向けマニュアルは複雑・高度な説明のみでよいかもしれません。
マニュアルを作成するのは、仕事を熟知した経験者であることがほとんどですが、ユーザーに合わせて作ることがポイントです。
全体像を示す
マニュアルは、最初から最後まで読んでもらえない、最低限必要なところしか読んでもらえないと思って作る必要があります。そのため、
- 仕事の全体像を示す
- どこを見ればいいか分かるよう見出しを付ける
ことがポイントです。業務フロー図でも一覧表でもいいのですが、どんな業務があるのか仕事の全体像を見渡せるようにします。全体像が見えると、自分が担当する仕事の位置づけも分かります。
さらに、ひとつひとつの業務に「見出し」をつけると、「これは自分の知りたい情報だ」と、探しやすくなります。例えば、家電製品のトラブルがあったとき、取扱説明書を初めから読み進めるのではなく、索引から知りたいことを探して見ることがほとんどだと思います。業務マニュアルも同様で、目次や見出し、フロー図などを利用して、知りたい情報にすぐにアクセスできるものを目指しましょう。
重複を避ける
例えば、窓口業務でお客様からお問い合わせを受けた時、「お客様対応手順」「トラブル対応マニュアル」「お問い合わせ事例集」というマニュアルがあったら、どれを見ればいいのかとっさに分かりません。どこに何が載っているかひと目で分かるようにして、複数のマニュアルに同じ内容を載せないようにすることが重要です。
マニュアルを作っているうちに、似た内容のマニュアルがいくつもできてしまうことがあります。しかし、あちこちに同じようなことが書かれていると、ユーザーは混乱し、メンテナンスもしにくくなります。同じ内容の二重記載は避け、ひとつにまとめる、リンクやページ指定によってすでにあるマニュアルの参照を促すことがポイントとなります。
形式を統一する
「Aさんが作ったマニュアルとBさんが作ったマニュアルがまったく違う」
このようなことは、よくあることかもしれません。しかし、それを放っておくのは危険です。
Aさんのマニュアルを使うか、Bさんのマニュアルを使うかによって、仕事の手順や品質が変わってしまう可能性があるからです。
これを防ぐには、マニュアルの形式(フォーマット)を統一することがポイントです。どこに何をどう書くか、あらかじめ、書式やルールを決めておけば、誰でも同質のマニュアルを作れます。形式を統一することで、マニュアルの品質だけでなく仕事の品質も上がります。
具体的に説明する
マニュアルを見ながら作業できるよう、文章を書くときは次の点に気をつけましょう。
- 一文を短く
- 時系列に書く
- 専門用語を使わない(使う場合は説明も書く)
- 5W1H(When:いつ、Where:どこで、Who:誰が、What:何を、Why:なぜ、How:どのように)を明確に
料理のレシピが良い例です。業務知識や経験が豊富な人でも、主語が抜けたり、一部の人にしか分からない用語を使ったり、説明が長くなったりすることがあるので、業務を初めて実施する人の身になって書きましょう。
また、業務マニュアルでは、仕事の目的や到達目標を示すことが大切です。手順は書かれていても目的が書かれていないマニュアルが意外と多いものです。到達目標は、いつまでに(期限)、何をどこまで(基準)できればOKなのかを具体的に示します。例えば、「在庫管理を適切に行う」と言われても、説明が曖昧でどうすればいいのか分かりません。「毎朝9時に在庫を確認し、5個以下になっていたら11時までに20個発注する」というように具体的に説明すると、担当者も作業しやすくなります。業務マニュアルを作ることによって、曖昧になっていた仕事のルールを明確にできるというメリットもあります。
その他、仕事のコツや注意点、チェック項目、トラブル事例などもあわせて業務マニュアルに載せておくと、作業がしやすく、ミスの防止にもつながります。
更新する
古いマニュアルをそのままにしていませんか。マニュアルが古くて役に立たず、口頭で仕事を説明してしまうことはありませんか。
マニュアルは作ったら終わりではありません。業務に変更が生じたら、マニュアルも更新しましょう。マニュアルを更新したら、必ず皆に伝えることが大切です。業務の変更点をメールや社内SNSなどマニュアル以外のツールで伝えてしまうと、その時はいいかもしれませんが、やがてマニュアルは古くなりミスも起きやすくなります。
マニュアルの見直しは、忘れがちなので定期的に実施するのがおすすめです。そのためにも、業務マニュアルは誰にでも使えるツールでシンプルに作るのがポイントです。更新しにくいと、ちょっとした修正にも手間がかかり、やがて更新しなくなって誰も使わないマニュアルになってしまう恐れがあります。
更新するタイミングで、ユーザーなど他者にマニュアルへの意見を募ると、作成担当者には気づかない視点で改善のヒントがもらえることもあります。ユーザーにとっても、マニュアル作りに参加している意識が持てる機会になります。確実な成果を得たい場合には、マニュアル作成のプロに相談や依頼することもおすすめです。
マニュアル作成でのよくある失敗例
マニュアル作成には失敗例を知っておくことが役立ちます。
これからマニュアルを作成する方は、以下の5つの失敗例に当てはまらないように注意してみてください。
また、すでに使われている業務マニュアルが失敗例に似ているようなことがあれば、思いきって改訂するのも有効です。
「マニュアルに手をかける余裕はない」という方もいるかもしれませんが、余裕がなくなってしまう原因は、実はマニュアルの不備にあるかもしれないのです。
失敗マニュアル5選
途中までしかないマニュアル
マニュアル作成は後回しにされがちです。「時間があるときにやっておいて」という程度の頼み方で、マニュアル作成のための時間も用意されないこともしばしばです。
その結果生まれるのは、途中で終わってしまっているマニュアルです。
全体の業務のうち、3割ぐらいしかマニュアルがない、というのはよくある話です。
当然、必要なことが書かれていないマニュアルは失敗例です。
文章が長すぎるマニュアル
ジムの入会規約など、全文を読まずに「同意する」をチェックしてしまった経験は誰もがあるのではないでしょうか?
マニュアルも同じで、文章が多かったり、長すぎたりすると、読んでもらえません。
文章の量が多すぎると、どの部分を読んだらいいのかもわかりません。また、文章の一文が長いこともわかりにくさにつながってしまいます。
文章が長すぎるマニュアルは、どんなに内容が合っていても、やはり失敗例です。
見出しがないマニュアル
マニュアルを見たいのは「困ったとき」です。
そんなときには、見出しがなければ、何の役にも立ちません。
一刻も早く問題を解決するためには、人に聞いた方が早い、ということになってしまいます。
例えば、クレーム対応をしている時に、見出しがないマニュアルを見るのに手こずっていると、相手を待たせることに繋がり、事態を悪化させてしまうでしょう。
必要なことが書かれていても、見出しがなく見たいページを探せないマニュアルは失敗です。
初心者にわかりにくいマニュアル
マニュアル作成は、業務を熟知した人が担当することが多いものです。
少しでも良いマニュアルにしたいからこそ、業務に詳しい人がマニュアル作成にあたるわけですが、これが失敗の元になります。
経験者の目線で書かれ、初歩的な内容を飛ばしていたり、専門用語を説明なく使ったりしているようなマニュアルは、最もマニュアルを必要とする初心者には歯がたちません。
どんなに高度な内容でも、初心者にわかりにくいマニュアルは失敗例と言っていいでしょう。
時系列に沿っていないマニュアル
マニュアルを見たいのは、仕事の手順を知りたいときです。
現場で経験を積んで覚えるという方法もありますが、時間や労力がかかるためマニュアルがあります。
そのマニュアルが時系列に沿っていなかったら、大変なことになります。
例えば、飲食店の業務で予約を受けるとき、アレルギーの確認をしなければならないのに、そのことがマニュアルの1番最後に書かれていたら間に合いません。
注意事項が載せられていても、時系列に沿っていないマニュアルは、やはり失敗になってしまいます。
ここまで、マニュアルの失敗例を5つ紹介しました。当てはまる場合には、ぜひ改善してみてください。
また、マニュアル作成への“取り組み方”にも、落とし穴がいくつもあります。
例えば、マニュアルを「空いた時間に作る」。
こんなありがちなことも、マニュアル作成にはNG行動なのです。
下の記事では、他の例も合わせて、良くない取り組み方の例を7つ紹介しています。
まとめ
以上、マニュアル作成のコツと失敗例をご紹介しました。作成時にポイントを意識するだけでもマニュアルの品質は確実に向上しますので、ぜひ取り入れてみてください。
仕事の片手間に作られることが多いマニュアルですが、本来はコストをかけるに値する重要なツールです。マニュアルがあれば、業務効率が上がり、教育時間の短縮にもなり、結果的に組織全体のコストダウンにつながります。
とはいえ、現実には難しい、でもマニュアルは整備したい、…とお悩みの場合は、一度外部に相談してみることをおすすめします。
例えば、マニュアル制作会社には、新たにマニュアルを作成するだけでなく、未完成のマニュアルや古いマニュアル等をリニューアルするノウハウがあります。弊社クレストコンサルティングでは、マニュアル作成はもちろん、マニュアル作成方法や改善方法のアドバイスも実施しています。ご自身でマニュアルを作成・メンテナンスをする場合のヒントもご提供できますので、ぜひお気軽にご相談ください。