
良いマニュアル制作会社の見分け方
もし制作会社にマニュアルを作ってもらうとしたら、どんな制作会社に頼みたいと思いますか?
価格が安い、短納期にも対応してくれる、大きな会社だから信頼できそう、などなど…選ぶ基準はいくつかありますが、いざ決めるとなると迷ってしまいますね。
そこで今回は良い制作会社を見分けるポイントについて書きたいと思います。
マニュアル制作会社のタイプ
マニュアル制作会社は数多くありますが、大きく次のようなタイプに分けられます。
個人系
個人事業主や一人法人でマニュアル制作を手掛けているタイプです。
制作会社や開発会社経験者が多く、見積もりも制作も自分でできるので話が早く融通も利きます。
ただし、人手に限りがあるので大規模なマニュアルを作るのは難しいかもしれません。
独立系
いわゆるマニュアル制作専門の会社です。
取扱説明書から業務マニュアルまで得意分野もさまざまですし、クラウドサービスなどITに強い会社もあります。
また、マニュアル制作のほかに、制作したマニュアルに関連する操作研修なども手掛けている会社もあります。
依頼する内容に応じてよく見極める必要があります。
事務所系
社会保険労務士事務所などでマニュアル制作も手掛けているタイプです。
労務関係、コンプライアンス関係といった専門分野に特化しています。
グループ会社系
大手メーカーのグループ会社や一部門がマニュアル制作を手掛けているタイプです。
総じて値段は高めです。
ネームバリューがあるので信頼できそうに見えますが、制作会社としての力量が高いとは限らないので、他の制作会社と同じ観点で比較検討した方がいいでしょう。
この中でどのタイプが良いかは、依頼する内容によっても変わってくるので一概には言えません。ですが、選ぶ際に注意するべきポイントは同じです。
良いマニュアル制作会社を見分けるポイント
良い制作会社を見分けるポイントをいくつか挙げてみました。
得意分野がマッチしているか
制作を頼むマニュアルが、その制作会社の得意分野にマッチしていることが肝心です。
いろいろな分野のマニュアルを幅広く手掛けている制作会社もありますが、それでも得意分野はあります。
例えば、機器の取扱説明書を得意としている制作会社に、新入社員教育用マニュアルの制作を頼んでも思ったとおりのものができない可能性があります。
常に同じ制作会社に依頼することが良いとは限りません。
作りたいマニュアルにマッチした制作会社なのか、過去の制作例や打ち合わせをとおし、しっかりと確認しましょう。
対応が早いか
見積もりや制作例を頼んだ時に、すぐに持ってきてくれるかどうかは大事なポイントです。
対応が早ければ、営業部門と制作部門の連携がきちんと取れている良い制作会社である可能性が高いといえます。
逆に、見積もりや制作例を頼んでから何日も音沙汰がなかったり、前に話したことをもう一度初めから話さなければならなかったりする制作会社は、社内で連携が取れていないことを意味するのでチームワークに問題があるかもしれません。
チームワークに問題があると、制作開始後に何かトラブルが発生した場合、その対応が悪くなる原因につながります。しっかり注視する必要があります。
最新の技術を持っているか
技術は常に進化しているので、制作会社もそれに付いて行かなくてはなりません。
今どき昔のワープロソフトでマニュアルを作る制作会社はないと思いますが、制作例のイラストが古臭かったり、デザインが垢抜けない印象だったりすると、同じようなマニュアルが出来上がってしまう可能性があります。
最近のマニュアルは、紙からタブレット、文字から動画に進化しつつあります。さらに、見た目だけではなくセキュリティやユニバーサルデザインへの配慮も必要になってきています。
最新の技術やトレンドを取り入れているかどうかは必ずチェックしましょう。
Webサイトがしっかりしているか
制作会社のWebサイトが、センス良くしっかり作られているかどうかでその会社の実力をある程度推し測ることができます。
電話やメール、会った時の印象も大切ですが、Webサイトもよくチェックしてみることをお勧めします。
話を聞いてくれるか
前回「やめた方がいい制作会社の見分け方」で、話を聞いてくれない制作会社はやめた方がいいと書きましたが、良い制作会社はその逆です。
見積もり前の打ち合わせでは、要望をじっくり聞いてくれるか、返事がズレていないか、要望とは違うものを勧めてこないか、という点に注意してみましょう。
繰り返しになりますが、制作会社にも得意分野と不得意分野があり、納期や人手の問題でお客様の要望に沿ったものが作れないこともあります。
もしも要望に応えられない場合、誠実な制作会社であればこの段階でできないと断るか、他社を紹介してくれるはずです。
見積もりが明確か
見積もりが出たら、価格が高いか安いかではなく、見積もりの根拠が明確かどうか確認しましょう。
安ければいいとは言い切れません。あまり安いとサービスが悪い可能性があります。
また、金額だけではなく、作業内容、スケジュール、工程、役割分担、完成イメージ、作業条件を明確に示してくれるかどうかも大切です。
特に、マニュアルの体裁だけ整えて業務内容の見直しには関与してくれない制作会社もあるので、作業内容はよく確認する必要があります。
アフターサポートはあるか
どんなに立派なマニュアルでも作ったら作りっぱなしでは困ってしまうので、アフターサポートをしてくれるかどうかも確認しましょう。
納品後でも困った時はすぐに来てくれるのか、メンテナンスは自分たちでやりたいと言った時に嫌な顔をせずにやり方を教えてくれるかがポイントになります。
最後は相性
上記の条件を全て満たしていても、担当者と話した時に「何となくかみ合わないな」と感じたら、その制作会社は考え直した方がいいかもしれません。
担当者とは何度も打ち合わせをすることになるので、「相性」は仕事の進めやすさや出来栄えにも影響します。
逆に制作会社としてはマイナスな面があっても信頼できそうな場合は、試しにマニュアルの一部を制作するなどのトライアルに応じてもらえるかどうか相談してみましょう。
やめた方がよい制作会社を見分けるポイント
反対に、迷ったらやめた方がいい制作会社を見分けるポイントをいくつか挙げたいと思います。
人の話を聞かない
打ち合わせの時に、こちらの話を聞いてくれないような制作会社はやめましょう。
制作会社にマニュアル作りを依頼すると、営業担当者や制作担当者と何度も打ち合わせをすることになりますが、話がかみ合わない場合もやめた方がいいかもしれません。
特に、依頼側が抱えている課題の本質やバックグラウンドを丁寧に聞いてくれない会社、面談開始早々から自社の商品やサービスの説明に終始するような制作会社は要注意です。
最終的にこちらの希望するマニュアルを作ってくれないおそれがあります。
見積もりが明瞭でない
「マニュアル制作一式100万円」のような見積もりを出す制作会社は要注意です。
必ず明細を出してもらい、金額が適正かどうか根拠を確認しましょう。
マニュアルを作り始めてから内容の追加や変更が生じることもあるので、その際に金額がどう変わるのかも把握することができます。
制作例を出さない
信じられないような話ですが、「マニュアル制作を請け負います」と言いながら、実際はマニュアルを作ったことがない会社もあります。
とにかく制作例を出してもらい、経験と能力を見極めましょう。
自社でマニュアル制作作業をしていない
上のパターンに似ていますが、自社ではマニュアル制作をせずに、パートナー要員に仕事を割り振ってこなしている「受託受付専門会社」も実在します。
このような制作会社では依頼側の要望が伝わりにくいばかりでなく、複数人の担当で仕事を進める場合にはコンテンツの一貫性を維持するのが難しくなります。
完成後の維持管理に関するアドバイスも、あまり期待できません。
自社要員についても、ぜひ確認するようにしましょう。
最初は安くみせかけてオプションで高くなる
安いと思って頼んだら、希望通りのものを作るには高いオプションが必要だった…ということもあります。
依頼した後にトラブルを避けるためにも、見積もりには何がどこまで含まれているのかよく確認することが大切です。
何でも「大丈夫」「できます」と言う
本当に大丈夫な場合とそうでない場合があります。
制作会社にも得意な分野と不得意な分野がありますし、納期や人手の問題でお断りすることもあります。
できないことはできないと断る制作会社は信頼していいと思います。
もし制作会社の話に不安を覚えたら、納得がいくまで説明してもらいましょう。
受け身すぎる
人の話を聞いてくれないのも困りますが、話を一方的に聞くだけで質問や提案がないのも要注意です。
お客様の話を聞いたうえで、業務改善やデザインの提案をするのも制作会社の役割のひとつですが、その能力が不足している可能性があります。
言ったとおりに作ってはくれたもののあまり良いものができなかった…という結果になってしまってはもったいないですよね。
すべてのレスポンスが遅い
依頼側の問い合わせや依頼に対して、スピード感のある対応ができない場合にも注意が必要です。
対応できる要員が少なすぎる、経験が不足している、仕事のマネジメントが適切に行われていないといった会社の典型です。
このような制作会社も避けたいところです。
後悔しないために
以上、良い制作会社、やめた方がよい制作会社を見分けるポイントを挙げてみました。
やめた方がよい制作会社のポイントは、一つでも当てはまったらダメとは限りませんが、少しでも気になる点があったら納得がいくまで確認することをお勧めします。
せっかくマニュアル制作を依頼したのに、制作会社によっては期限までに仕上がらなかった、希望と違う形になってしまった、業務の見直しができなかった、追加料金を払って作り直すことになってしまった…などと後悔する羽目になってしまうかもしれません。
また、マニュアル制作を依頼する際は、どのようなマニュアルを作りたいのかをあらかじめイメージしておきましょう。
利用者は誰か、どのように使いたいのか、マニュアルを作るのに合わせて業務も見直したいのか、自分でメンテナンスしたいのか、などを具体的にリストアップしておくとよいと思います。
そして、できれば複数の制作会社に同じ条件で見積もりを依頼することをお勧めします。制作会社ごとの違いがよく分かります。
よく吟味して信頼できる制作会社を選びましょう。
以上いろいろと書きましたが、作りたいマニュアルの内容や予算に合わせて制作会社を選ぶ際の参考になれば幸いです。